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8/19公演の解説

8月19日に、平安時代の芸能を演奏/踊る、桜井真樹子さんの公演に出演します。

以下、桜井さんが書かれた、公演の解説です。
ちょっと長いですが、桜井さんは本当に勉強熱心だなあ。とても勉強になります。

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<古代の「音」を出現させるパフォーマンス>
 自らが古代人となり、「風」「水」を畏怖して、その音を模倣した時に、どんな音を生み出すだしたのだろうか?という「音」の表現を行います。

 川口の元キューポラ工場で行うことが意味のあることで、川口にはすでに平安時代に鋳物作業場跡と遺跡が安行(あんぎょう)という場所で発掘されています。それは、日本における出雲族がこの土地に移住してきたからで、川口、さいたま(旧浦和)一
帯の氷川神社は、出雲の神を祭っています。したがって神紋も八雲。
 鋳物、つまり鉄産業では、「踏鞴(たたら)」という作業、それは、風を送って火を燃やし続ける作業なのですが、それが製造中、休まることなく続けられます。そして、熱されて液状になった銑鉄が、水によって冷やしたり、湯溜めをするという作業では、大量の水が使われ、彼らは、いかに「風」と「水」の恩恵が必要か、ということが身に滲みて知っている人々でもあるのです。だから彼ら、出雲族は、日本の各地の水の豊かな土地を見つけては、移り住んでいったのです。結局は、「天皇の歴史」の中では、中央集権から追い出された民族ですが、鉄産業に携わった人々は、延々と存続し、明治以降も戦後も景気が上向きの時は、羽振りがよかったのです。それが、公害問題、石油ショック、バブル崩壊で、鉄産業そのものは、過去のものとなりつつ
あります。
 実際に、川口の煙害、スモッグなど相当問題になりました。
 また、川口市の伏流水は、おいしくて有名な土地だったのですが、そこにサッポロの工場が立ち、「エビスビール」を過剰生産し、川口の水を枯らしてしまったので、サッポロ川口工場は2003年9月に撤退しました。
 そういう、自然の怒りに触れた町です。
 我々はそのことを古代人出雲族が川口に上陸してからの歴史をひも解いて、どうするべきを考える時を迎えたと思っています。

 鈴木昭男氏は、現在丹後在住のアーティストで、「丹後」はまさしく「丹生(にう)…丹の採れる」の土地です。鈴木昭男がどんなアーティストか鋳物工場の人たちは知らなくても「丹後の人で」というと「ああ、鋳物で有名な」という答えが返ってきます。

 その丹後では「仙丹道(せんたんどう)」と言って、丹(主に水銀)の薬を調合し、不老不死になって仙人になる、という錬金術と仙人道がありました。
 これは平安のころまでもあり、空海はこの丹後の仙丹道に目をつけて、密教の中のひとつの修行目的である「即身成仏」と仙丹道を結び付けようとしました。しかし、かれは、高野山で不老不死になって即身成仏になることに失敗したのです。しかし、
それを高野山自体は、「失敗はしていない」という姿勢があり、高野山の奥の院では、「今でも弘法大師は生きている」ということで、今でも毎日毎日、弘法大師の「霊廟」に御飯を持っていく役目の高僧がそのお勤めをしているということなのです。
 実際には、奈良時代の日本の天皇、聖武天皇などは、この中国から伝わった仙丹道の輸入を否定した人です。
 「竹取物語」では、天の橋立てから降りてきた巫女が、自分を拾った翁と王(天皇)に「不老不死」の霊薬を残して、また天の国に帰るわけですが、王は「たとえ不老不死を得たとしても愛する人のいないこの世で生き長らえてどうするのだ」と言って、
天に一番高い山にこの霊薬を投げ入れてその煙りが今でも立っている、その山が「不死山」つまり今の「富士山」だと書いて、この物語りを終えています。

 実は、奈良の大仏の時も、大仏に金箔を張るために大量の水銀が金と一緒に溶かされて、それを火であぶって大仏に金を付けたときに、流れて土地にしみこんだ水銀のお陰で、奈良の民(わたくしも元奈良県民)は、みんな水銀中毒になり、パニックが
おきたといわれています。それで「ここの水は大丈夫」といってくみ出させた二月堂のそばの井戸の水を汲むことから「お水取り」は始まったそうですね。

 このように、日本の王は、中国の皇帝達がなぜ最後にいうも暴君となって国を滅ぼすか?というのを考えた時に、この「不老不死の霊薬」に水銀があることを、発見したのではないか?と言われています。

 しかし、「不老不死」の霊薬を作り続けた人がいた。それが丹後の国の人たち。彼らの巫女の歌で、
「長歌」
 天橋文(あまはしも) 長雲鴨(ながくもがも) 高山文(たかやまも) 高雲鴨(たかくもがも) 月夜見乃(つくよみの) 伊取来而(いとりきて) 持有越水(もてつをちみづ) 公奉而(きみにまつりて) 越得之早物(をちえてしかも)  
(天のはしごも 長くあれかし 高山も なおも高くあれかし 月読の 持っている若水(これが水銀)を 取ってきて 君に捧げて 若返っていただきたい)

「反歌」
天有哉(あめなるや) 月日如(つきひのごとく) 吾思有(あがもへる) 公之日異(きみがひにけに) 老落惜文(おゆらくもしも)
 (天にある 月日のように わたしが仰ぐ 君が日ごとに 老いゆくのが惜しい)

という歌が万葉集の第3245、3246番歌としてあります。
これが「竹取物語」の原考案であり、丹後の国、天橋立につたわれる巫女と翁の伝説の歌と言われています。
 今回はこの歌をもとに私が作品を3人のために書きました。

 古代人の産業は実は、綿々とつながっているます。 
 川口も、丹後も、そして日本の景色は、今もそんなに変わらないのです。

 出雲族が日本に勢力を伸ばした「鉄」の文化、これによって、川口も栄え、そして、土地を汚していったのです。

 「水猿曲(みずのえんきょく)」という曲は以前から私の白拍子としての歌舞として歌ってきた歌ですが、実はこの譜面は、「上賀茂神社三手文庫蔵楽譜」です。京都の上賀茂神社は、崇神天皇が勅請した神社です。
 上賀茂、下鴨神社、及び貴船神社、京都の上流に立てられた神社は、すべて玉依姫という「水の女神」が降りたところといわれています。
 実際に上賀茂神社には斉院があり、水の神を司どる巫女がいた場所です。玉依姫が御神体になっているところは、そういう女神がいたというよりかは、水を司どる巫女がいた、という言い方が適切だと言われています。
 「貴船」という神社では、玉依姫が「船」でこの土地に流れ着き、その川で水浴びをしていた時に、槍が流れてきて神武天皇が生まれたと言われています。そして神武の后は、「姫踏鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)」であり、これは出雲族の女性であったのでしょう。つまり、出雲族としての物語りとしても「水」と「踏鞴」は結ばれていました。彼らは「水の女神」の守護がなければ自分達の産業は成立しないことを知っていました。
 川口には縄文時代末期に「見沼」という巨大な沼地があり、そこに立てられた「女体氷川(にょたいひかわ)神社」から「御船祭」という神輿を船に乗せて、四本竹のたった御旅所に着くという儀式があったそうです。
 「水猿曲(みずのえんきょく)」という曲は、水の優れた場所を地球儀を回すように歌いあげる曲です。それを巫女が歌い、その末裔である白拍子、とくに「水猿曲を歌うのがうまい」といわれた「水の白拍子」という白拍子が歌った曲だと梁塵秘抄にも書いてあります。彼女はまだ、神としての「巫女」のパワーを持っていた人たのでしょう。それが、上賀茂の美しい水を必要とする人々の前で歌われれることは、大変重要なことだった思われます。

 そういう土地の先祖へのアプローチとてして、キューポラ跡でこれらの歌を歌います。歌を歌う理由は、ちゃんとしているのです。

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2005年8月19日(金)
「水の音」「風の音」
~古代のコエ、古代のオト、古代のコト~

桜井真樹子(声明・鴟尾琴とびのおのこと)
鈴木昭男(サウンド・アート)
ウィリアム・徳久幸太郎(ヴォイス)
19:00開場 19:30開演
琴歌譜より「歌返うたひがへし」
雑芸「水猿曲みずのえんきょく」
音楽劇「はにわの王子さま仁徳と速待の唱和より
万葉集 第3245、3246番歌「丹生の翁」
料金:3000円
場所:KAWAGUCHI ART FACTORY 2F SPACE 4
   埼玉高速鉄道(営団地下鉄南北線直通)川口元郷駅より徒歩5分 または
    元一中町会館前 下車0分(JR川口駅東口発エルザタワー循環)
    埼玉県川口市元郷2―15―26 048―222―2369
    http://www.art-kouba.com//chizu.html
問い合わせ:080-3094-0951  048-297-4354
 makiko@zipangu.com(桜井)
協力:KAWAGUCHI ART FACTRYかわぐち塾

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Comments

薮田絃一郎著「ヤマト王権の誕生」が密かなブームになっていますが、それによると大和にヤマト王権が出来た当初は鉄器をもった出雲族により興されたとの説になっています。
 そうすると、がぜんあの有名な山陰の青銅器時代がおわり日本海沿岸に四隅突出墳丘墓が作られ鉄器の製造が行われたあたりに感心が行きます。当時は、西谷と安来-妻木晩田の2大勢力が形成され、そのどちらかがヤマト王権となったと考えられるのですがどちらなんだろうと思ったりもします。

Posted by: 考古学ファン | 2008.10.26 at 12:34 PM

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