« お手伝い募集(バイト代出ます | Main | 世界最古の演劇ワークショップ »

「神秘な声の旅」プログラムノート

先日行った、埼玉県の0760というプライベートレストランでのライブの構成です。


1、仏讃
 この曲は、天台声明のひとつ。「声明」は主に、密教儀礼の「みえない世界と交流をはかっているさま」を「声」によって「明」らかにしている宗教的表現である。
 仏讚は、この天台声明の「胎蔵界曼荼羅供養」で大日如来に出会えたことに感謝して、唱えられる声明。梵語(古代サンスクリット語を残す形の言語)で書かれているため、古代サンスクリット語に再び翻訳することができた。今回は、その一部を紹介し、そこに振り付けをする。
[仏讚の内容]
 大自費を持ち、保護する者にして、また一切を知れる導師として、福徳は海のごとく、功徳を持つ如来に、私は敬礼致します。

2.Neydawud
 この曲は、イラン/ペルシャの古典声楽の曲である。
 イラン/ペルシャの古典声楽の特徴は以下の通り。
1.国民の誰もが、何かしらの古典詩を暗誦出来るといわれるほど、「詩」の国である「イラン」の伝統音楽も、やはり10〜13Cの古典詩が基本となっている。そのため、リズムが感じられない「無拍」(明確なリズムが無いこと)が重要視される。
2.タハリール(うぐいすの声)唱法と呼ばれる、独特のコブシが使われる。その唱法が声楽の要のテクニックとなっているため、基本の発声自体が、この唱法をやりやすいように出来ている。
 ここで取り上げた曲は、12旋法あるうちの1つである、ホマユーン旋法に基づく小曲である。なお、今回のように、小曲1曲だけを取り上げることは伝統的にはあまり無い。通常は、その旋法に基づく数多くの小曲(グーシェ)を、伝統的な決まりで並べ、即興を交えながら演奏する。
歌詞の内容は、イスラム神秘主義に基づいており、具体的には下記の通り。
『あなたから離れることを厭いはしまい。あなたに出会った時から、私は別れの悲しみに嘆いているのだから。しかし我が身はあなたから離れようとしているのに、心はあな
たのもとにある。それは何と堪え難きことか!』by Sa'di(サアディー)

3.PRAYER
 トゥバ共和国の世界的グループ「Huun-Huur-Tu(フーン・フル・トゥ)」のアルバムに収録されている、チベット仏教の声明(声明)をモチーフにした曲。チベット声明はその超低音が特徴的。チベット仏教を信ずるトゥバのホーメイにも、やはり超低音テクニック「カルグラ」があり、その発声原理は、おそらくチベット声明で使われている発声と同じだと思われる。(トゥバ、ホーメイに関しては、下記の「5.オッペイホーメイ」を参照)
 歌詞の内容は、
1.神よ、われらの牛、羊がどうか健やかでありますように。
2.山よ我等の暮らしをどうぞ見守ってくださいますように。
 
4.賛美詩
 アメリカ合衆国のアリゾナ州には、広大砂漠にナバホ族の自治区がある。ナバホ族の儀礼の中には、「ィエビチェイ」という春を迎えるにあたって、精霊なる神に自分たちの罪や穢れを洗い清め、どうか春が訪れて、春の精霊によって豊かな実りがもたらされますようにと、願う儀礼がある。
 その中に夜中に歌われる「夜の歌」がある。すべての罪や穢れを洗い清めたのちに、春の精霊「美しき『気』」を賛美する祈りである。
 春の精霊は、私たちとともに住む。私の前にも後ろにも横にも私を包むように、いつもいる。そのように、山の木も花も鳥も動物も、私の飼っている牛も羊も私たちの家も家畜小屋にもいたるところに、春の精霊である「美しき『気』」は共にいる、という意味。
 このナバホ語で唱えられる本来の歌は、英訳されて人々の知るところとなった。それを王函という中国の人に中国訳をしてもらい、それを趙暁群という北京歌劇の俳優だった人に朗読してもらい、その抑揚を声明の旋律によって残そうとした平安時代の日本の僧侶の作業のごとく、桜井が作曲をした。
 今回のバージョンは、その祈りの中で歌われている自然の声を徳久ウィリアムが声で担当する。

5.オッペイホーメイ
 モンゴルにはホーミーと呼ばれる、特殊な歌唱法が存在する。この唱法は、一時的に、いわゆる「ダミ声」を作り、そして、舌を口腔内を操作し、声に含まれる倍音成分を強調・コントロールする事によってメロディーを奏でるという、この地域周辺にしか見られない特殊な歌唱法である。
 しかし、モンゴル国内では、一部の地域を除き、ホーミーは、大衆には浸透していない。つまり、一部の専門的な歌手による、特殊な芸能として存在しているのだ。しかし、モンゴルの北西部に存在する、ロシア連邦に属するトゥバ共和国では、ホーミーに良く似た「ホーメイ」という芸能が、「民謡」として、大衆にしっかりと根付いている。
 ここでは、オッペイホーメイという、子守唄を取り上げた。アレンジは、日本のおけるホーメイの先駆者である「タルバガン」のバージョンによる。
トゥバ語による、頭韻を踏む歌詞の内容は下記の通り。
1.長いこと歩いてもお母さんの脚は大丈夫。
2.遠くまであるいていってもいってもすねの折れないお母さん。
3.頭の白いお母さんから生まれた音楽を奏でる私。
4.白黒頭のお父さんから生まれたホーメイを歌う私

6.イザヤ書55章10-13節
 「第二のイザヤ書」の最終章。「第二のイザヤ書」はイザヤの後に現れた「名もなき預言者たち」のことば。
この最終章は、「ことばの力」と呼ばれている。「使命を持った預言者の道は自らのことば(=命)を地に返すことによって、人々にそして自然に命を与える」という犠牲の精神と決意が歌われている。
[歌詞]
雨も行きも、ひとたび天から降れば、むなしく天に戻ることはない。それは大地を潤し、芽を出させ、生い茂らせ、種蒔く人には種を与え、食べる人には糧を与える。
そのように、わたしの口から出るわたしの言葉も、むなしくは、わたしのもとに戻らない。されはわたしの望むことを成し遂げ、わたしが与えた使命を必ず果たす。
あなたたちは喜び祝いながら出で立ち、平和のうちに導かれて行く。山と丘は、あなたたちを迎え、歓声をあげて喜び歌い、野の木々も、手をたたく。
茨に代わって糸杉が、おどろに代わってミルトスが生える。これは、主に対する記念となり、しるしとなる。それはとこしえに消し去られることがない。

7.アメイジング・グレース
 アメリカの黒人音楽のルーツの1つである「黒人霊歌=ゴスペル」の有名曲。
ここでは、マヘリア・ジャクソンという、アメリカ黒人の宗教音楽である「ゴスペル」を、世間一般に認知させた功労者のバージョンを取り上げる。
 全身を共鳴させるような、場合によっては、怒鳴るようにも聴こえるその歌唱法と細かいビブラートは、現在でもゴスペルの特徴だが、彼女のフレージングは素朴で、当時のアメリカを偲ばせる。

8.イザヤ書9章1—5節
 紀元前8世紀、ガリラヤ地方はアッシリア帝国の属州になった。エルサレムから北に遠く離れ、イスラエルの人々から切り離され奴隷となった「ガリラヤの人々」にイザヤは「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれる」と救い主の到来を預言し人々を力づけた。これを、テキストどおりの古代ヘブライ語で作曲した。イスラエルの民族がヘブライ語を話さなくなり、忘れていこうとした時代に「テアメイ・ハ・ミクラー」という文法上の記号が文章に記された。これによって、一つの文章の区切りはどこか、副詞、形容詞はどこにかかるのかを明記した。その記号に基づいてフレーズを決めていった。この預言は、後に「キリストの誕生の預言」とキリスト教徒は考える。.
[歌詞]
 闇の中を歩む民は、大いなる光を見、死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。
 あなたは深い喜びと、大きな楽しみをお与えになり、人々は御前に喜び祝った。刈り入れの時を祝うように、戦利品を分け合って楽しむように。
 彼らの負う軛、肩を打つ杖、虐げる者の鞭を、あなたはミデイアンの日のように、折ってくださった。
 地を踏み鳴らした兵士の靴、血にまみれた軍服はことごとく、火に投げ込まれ、焼き尽くされた。
 ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちに与えられた。権威が彼の肩にある。その名は、「驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和の君」と唱えられる。

|

« お手伝い募集(バイト代出ます | Main | 世界最古の演劇ワークショップ »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« お手伝い募集(バイト代出ます | Main | 世界最古の演劇ワークショップ »