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7/17 NPO法人芸術家のくすり箱」主催セミナー 「Voice Wellness Day 芸術家の声の障害」報告

先日、タイトルのセミナーに参加してきました。

http://www.artists-care.com/seminar/2010/05/voice-wellness-day-2010.html

私みたいな特殊なボイスをやっている人間にとっては、
巷に溢れる「正しい」発声法はあまり役に立たないどころか、
この人は何を持って正しいというのだろう、という疑問を抱かせられたり、
あまりにも本人の感覚に頼りすぎた説明が要領を得なかったりで、

なかなか行きたいと思わせるセミナーは無かったんですが、
今回のセミナーは、講師の方が、ホーメイの発声に関する研究論文を書かれたお医者さんだったので即予約。

結果的には、参加して大正解でした。
お目当ての1部の新美先生は勿論のこと、2部の言語聴覚士のお話もとても役立ちました。

でも、ウォームアップやクールダウンの方法を聞いておくのを忘れてた・・・・

以下、自分のメモを箇条書きにまとめました。
文責は全て私にあります。

もし間違った理解でしたらやさしく指摘してください、えらい人。

個人的には、発声は聴覚のフィードバックがとても重要だという、
経験では知っていたことが医学的に証明されているコトを知れて腑に落ちました。
(だからクラヤミでの声のレッスンだと効率が良いわけです。)

また、ウガイが声帯には直接に関係ないコト、
そして風邪予防には手洗いの方が大事だという事に驚きました。

そして、音声障害の例として挙げられていた「変声障害」の音声が、
Fratennというバンドのギタリスト小島君の声そっくりでビックリ。
でも、小島君の場合はあの声も芸の一つに昇華されてるから、
もはや障害では無いよね。

ちなみに、症例の方は、2ヶ月で完治して普通の声になっていました。


●第1部: 芸術家の声の障害~メカニズムと治療法~
 ■講師:新美成二先生(国際医療福祉大学教授、東京大学医学部名誉教授)

・正しい発声の仕組みの知識は自分から求めていかないと得られない:
 音楽教育は小1から行われるが、正しい「声の出し方やそのメカニズム」や、それに基づく声の予防法が教えられる事は無い

・発声はラッパの原理:
 声の出る仕組みはラッパを吹く原理と同じ。
 唇=声帯が音源となり、音源は管=声道で音色を整えられる。。
 ただし、人間の管=声道は、複雑に伸縮するため、色々な音色が出る。

・声帯の構造:
 声帯は、上に柔らかい粘膜の層があり、その下に動かすための筋肉がある。
 その構造は唇にとても良く似ている。

・声の個人差:
 音源としての声帯の音には、それほど個人差は無い 

・発声には下記の3つフェースがある
 1.空気を送り出す肺 
 2.その空気で音を作り出す音源としての喉頭
 3.その音の音色を整える声道(共鳴腔)

・普通の呼吸時(安静呼吸)において、吸う時にのみ筋肉を使う。

・肺に残る空気:
 肺の中には呼吸によって交換されない空気があり、
 それで取り込んだ外気を薄める効果がある。
 年をとると残気量が増え、呼吸の効率が悪くなり、声が続かなくなる

・呼吸は全身運動:
 呼吸には、45種類の筋肉が関わる。その範囲は上半身全てで、
 それ故に全身運動と言える。
 ちなみに、吸う時と吐く時とでは、使う筋肉が異なる

・横隔膜と腹式呼吸:
 横隔膜は吸う時に働く筋肉で出来た膜で、通常は上向きのドーム型の
 形をしており、息を吸う時に、平らになることによって肺を膨らませる。
 この時に圧迫された内臓がお腹を膨らませるので、腹式呼吸と呼ばれる。
 横隔膜の動きは、呼吸においてとても効率の良い働きする。

・腹式呼吸と胸式呼吸はどちらが良いのか:
 それぞれの吐く息の違いは無い。
 また、腹式呼吸の発声における優位性を示す論文は無い。
 が、声帯から遠い位置で動いているため、腹式呼吸の方が
 発声においては効率の良い呼吸法かもしれない。

・「息で支える」という表現:
 吸う時に働く筋肉としては、横隔膜以外に「外肋間筋」がある。
 しかし、息を吐き始めた後も、しばらくこの筋肉は働いている。
 これは、急激に肺がしぼまないようにするため。
 「息で支える」という声楽における表現は、
 この筋肉の働きを指しているのでは。

・仮声帯とは:
 声帯の上には仮声帯という器官が存在する。
 通常、この器官は音源としての役割は果たさず、音色に関わる。

・声帯の振動は高速:
 硬い筋肉の上に、柔らかい粘膜が乗っているという声帯の構造ゆえに、
 高速の振動が行われる。
 その振動は、遠浅の海において、風によって海が波打つ現象と似ている。
 声帯も、振動するのは柔らかい粘膜の部分。

・脳からの指令:
 声を出す際の脳の指令は「声帯を寄せろ」。それから「息を出せ」。
 「声帯を振動させろ」という指令は出ない。

・声を止める仕組み: 
 3つの種類がある。
 1.肺からの息の流れを止める
 2.声帯を開く(「声帯を寄せろ」という指令を止める)
 3.声門を強く閉鎖する

・音を高くする筋肉はあるが、低くする筋肉は無い。

・喉に無理せず、音を大きくする方法:
 ラッパの口を大きくする。つまり、口を大きく開く。
 それ以外には、吐く息の圧と、量を大きくすることで声が大きくなるが、
 鍛えてない人は大声を出すことで喉に無理が生じ、障害が起きやすい

・鼻声:
 話し言葉において、鼻声はonかoffの2種類しかない。
 ex)ま行:鼻が響く ば行:鼻が響かない
 が、例えば子守唄などでは、軟口蓋を下げることによって、
 鼻を響かせるなど、表現の世界では鼻声を利用するケースがある。

・声帯の知覚:
 声帯は痛みを感じない。触覚はあるが、温痛覚は無い。
 喉が痛いのは、咽頭の痛み。

・耳によるフィードバック:
 声帯は筋肉の収縮を感じる「固有知覚」が鈍い。
 それは、同じく固有知覚の鈍い舌の形を、鏡を見ずに
 色々と変える事が難しいのと同じ。
 その代わり、聴覚によってFeedbackを行う。

・声を長い間続けて出さない:
 運動の機能があまり発達してないのに、声帯は高速振動を行うため、
 大きな声を長時間出せば、障害が起きやすくなる。

・ポリプの手術は簡単:
 声帯に血まめが出来る「声帯ポリプ」は手術によって除去が簡単

・癖になり易い「結節」:
 結節声帯の一部が硬くなってしまう「声帯結節」も
 手術によって除去は可能だが、声の出し方が再発の可能性が高い。

・胃食道逆流症:
 胃食道逆流症は、暴飲暴食などによって起こる胃酸が食道を逆流し、食道の下辺りが焼ける症状。
 これによって、迷走神経が影響を受け、声帯が枯れるなどの影響が出る場合がある。

・日本の音声外科は世界をリードする技術を持つ:
 それは、音声治療でやるべき治療を外科で行ってきた蓄積があるため。
 (切りたがる医者が多い?)

・様々な病的な声帯:
 喫煙によるポリプ様声帯 声帯全体がむくむ
 GERD 声帯全体が水ぶくれのようになる。普段から息の通り道が閉まっているので、息切れし易くなる。

・ファルセット:
 生理学的には声区は3つ。
 それぞれ、発声に使われる筋肉のコンビネーションの違い。車で言う、ギアの入れ方の違い。

・ウガイ:
 ウガイの水は声帯まで届かないので、ウガイは声帯には影響を与えない。
 また、上述のように、声帯は痛みを感じない。
 痛みは咽頭による場合がほとんど。で、声を出すときに軟口蓋を動かすと、
 それに引っ張られた咽頭が痛みを感じる。
 炎症を起こしている箇所のすぐ近くの皮膚を引っ張れば痛くなるのと全く同じ現象。


●第2部: 声の障害の予防法とリハビリ
 ■講師:生井友紀子先生(横浜市立大学附属病院 耳鼻咽喉科 言語聴覚士)

生井先生は、音声外来の所属。

言語聴覚士とは:
 ・国家資格の医療職
 ・基本的に患者と1対1でリハビリを行う(失われた機能の回復)
 ・約1万5千人いる。これは、アメリカと比べると、対患者比率において1/10
 ・その中で音声治療を行う人は50人もいない。
 ・言語聴覚士の音声治療は「サイエンス」であり「アート」。
  それはイメージで誘導したりするため。
  訓練法は何十とあり、使えるものはありとあらゆる方法を使う。
 
言語聴覚士が関わる音声言語医療とは:
 ・ことばのコミュニケーションが関わる分野全てを扱う。
  具体的には、
  1.言語
  2.スピーチ:構音、音声
  3.聴覚
  失語症、自閉症、他動症、人口内耳まで、範囲は非常に広い。

声の障害の基準:
 ・声の4要素
  1.音質 ex)枯声
  2.高さ・低さ
  3.強さ
  4.持続性 ex)10-15秒以上声を出し続けられない
  (5).柔軟性:自分の意思で、2-4をある程度コントロールできること
 ・病態
  1.器質性:欠損が無いかなど、声帯の見ため
  2.運動性:麻痺など。
  3.機能性:上記1,2の病態は認められないものの、障害がある場合。
         その原因は、単に声の出し方にあったりする。
         言語聴覚士が一番得意とする分野

言語聴覚士のリハビリを受けるには:
 ・耳鼻科医の診察の指示箋(処方箋)が必要

言語聴覚士による音声治療:
 ・声の衛生指導
 ・現状への一時対応 ex)仕事の都合で休めない時などの対応法
 ・症状対処的な訓練
 ・包括的な訓練:呼吸や発声の筋力のアップなど、総合的な練習
 ・生井先生の場合、「声のノート」を使い、「褒めてやらせる」コーチングの手法を取り入れているそう。

音声治療の本質:
 ・行動変容 生活・発声習慣を変えていくこと+自己コントロール

声の衛生指導:
 1.声についての正しい理解
 2.声に悪いコトへの理解
 3.声に悪いことをやらない工夫
 4.自己コントロール

声に悪いこと→その予防法:
 ・風邪 → 風邪をひいてしまったら黙っているしかない。
 ・体調不良(睡眠不足、栄養失調、水分不足) → 1日7時間睡眠、1日1.5~2Lの水
 ・精神的ストレス → 軽減・解決 ex)心理療法士
 ・声の酷使・乱用
   → 大きい声、高い声、ささやき声などを減らす
   → 声の使う量と場所に優先順位を付ける
   → コミュニケーション方法の工夫(相手に内容が伝わるように、
      ゆっくり喋る、強弱を付ける。相手の話を黙って聞く、など
   → 電話での会話を減らす。飲み会を減らす。
 ・逆流性食道炎(上述) → 消化器内科
 ・せきばらい → 癖になっている人はその癖を治す
 ・乾燥 → 小まめに水分補給。蒸気吸入器の使用、お湯を沸かす、暖かいタオルを顔に当てる、など。
 ・冷え
 ・ほこり・タバコ
 ・口呼吸
 ・暖房・クーラー
 ・鼻の病気 → 耳鼻科
 ・急激な体重減少(筋肉が細くなる)
 ・喉に悪い食べ物:刺激物
 ・アルコール:声帯が充血し、コントロール力を失う
 ・ウガイ → 声帯には直接的には関係ないので、やり過ぎない

その他:
 ・のど飴はよいのか:
   声帯には直接影響は無い。唾液が出るので口腔内の衛生を保つ上では良い。
 ・声帯を自分では見るコトが出来るのか:
   出来ない。ただし、耳鼻科に行けばすぐ見てもらえる。
   それこそが耳鼻科の最大の強みの一つ。

補足:
 ・ホーメイは喉に悪いのか:
    生井先生は悪いと思う、と仰ってましたが、
    セミナー終了後、先生に直接、倍音Sメンバーを含め、
    年間50~100本のライブをやりつつも、
    喉を痛めてない人が5,6人いるという事と、
    個人的な感覚では、ホーメイといえども適切な発声をし、ちゃんと休んでいれば、
    喉を痛めることは無い、というコトを伝えたところ、
    納得されていたようでした。

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