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幻の「リンベの音真似」唱法 物語

少し懐かしい話からはじめよう

元ユリイカの編集長で、フリーの編集者「須川」さんから、
あるボーカリストのCDを借りた。

それは、日本ではカルト的な人気を誇るプログレ(ジャズロック)バンドの「AREA(アレア)」だ。

いわゆる民族音楽の手法をロックにいち早く取り入れたそのスタイルにまずはノックアウトされた。

次に、ボーカリストの変幻自在な声に驚いた。
そして、これこそが上記の須川さんが、私にこのバンドを紹介した理由だった。

アレアのボーカリスト「デメトリオ・ストラトス」は時代を先駆け、
フォロアーもほとんど生まれなかった天才的な孤高な存在だった。

私もその時はいろいろな発声をリサーチ・勉強・実践していたので、
大体のやり方は分かったし、幾つかのテクニックは自分の方がまさっているとも感じた。
(余談だが、テクニックと表現はまた別物だ。特殊な声を出すのは、実はそれほど難しくない。
 特殊な声を使って、何を表現するか、が大切で、一番難しいところだ)

しかし、一つだけどうやって出しているのか、全くわからない歌唱法があった。

それがこの曲で使われているこの歌唱法だ。

動画を見れば何とかわかるかも、と思い、
幸運にも動画も入手できたが、
さっぱりわからない。

(今思えば、この動画での苦虫をかみつぶしたような表情には、却って混乱させられた:笑)

デメトリオ・ストラトス以外にこの歌唱法をやっている、という情報もなく、
これ以上ヒントは得られず、しばらくは試行錯誤の期間が続いた。


もしかしたらずっと出来ないのかもな、とも思った。

「人の声の可能性の拡張」をテーマに掲げているボイスパフォーマーとしては屈辱の日々。
ちと大げさだな。ははは
しかし、「出来ない」ならともかく、「やり方」が全く分からない歌唱法があるのは、悔しさを感じたのは事実だし、

理解できない歌唱法があった場合、口惜しさを感じるのは今でもそうだ。


と、悶々とした日々を過ごしていたところ、

とあるCDを入手した

Mi0002542066

なんと、ここには上記の発声法が収録されていたのだ。
しかも別の人による。


正確に言えば、この歌唱法がモンゴル由来のものである事が分かった。

(更に言えば、デメトリオ・ストラトスのほとんどの歌唱法の元ネタがこのCDにあった)

このCD(どうやら廃盤らしい?)の視聴はここで出来る。
Disc2の25曲目”Vocal Imitation of the Limbe Flute”がそれだ。
http://www.allmusic.com/album/voices-of-the-world-le-chant-du-monde-mw0000617048

この歌唱法はモンゴルでは「Amaar Limbedekh」と言う。
訳すると「口によるリンベ」。

リンベはモンゴルの横笛のこと。

英語にするとVocal Imitation of the Limbe Flute、という訳だ。

(前述のデメトリオの曲名「Flautofonie」のFalutoはフルートという意味だそうだから、似た意味で付けたのだろう)


さらなる幸運として、このCDの制作・監修に関わったDr.TRAN QUANG HAI(トランカンハイ) 氏と直接お会いして、この歌唱法について聞く事も出来た。

この歌唱法自体はほとんどモンゴルでも残ってないこと。
(CDに収録されている以外の例を知らない、と仰っていた)

そして、なんとデメトリオ・ストラトスは、TRAN QUANG HAI氏の生徒だったことも判明!!!

その時にTRAN QUANG HAI 氏が撮影した動画


音源だけでなく動画もぜひ見たいなあと思っていたが、
そんな事情なら、動画なんてないだろうなあと思っていた。

ところが、、、、、、

https://www.facebook.com/sitecifras/videos/1432826600091032/?pnref=story

ありました

凄い世の中だなあ。


ちなみに、これも後日、馬頭琴奏者の嵯峨さんと共演させて頂いた時に聞いた話。

以前、モンゴルの遊牧民のおばちゃんがこの歌唱法で歌うのを聞いたそうだ。

また、オルティンドー歌手の三枝さんにもこの歌唱法について聞いたところ、
実際に聞いた事はないが、モンゴルにならいてもおかしくないと思う、とコメントしていた。
(確かに。ホーミーやオルティンドーなどの、発声芸術を体験すると、モンゴルの人は相当器用な喉や口をしている事が分かる)

うーん、ぜひ生で聞きたい!!


最後に私の解説動画を貼り付けます

英語版の実演動画

声って面白いよね

p。s。
これらのような歌唱法は、特別な人にだけ出来る特権ではありません。
誰にでも出せるポテンシャルはある、というのが私自身の指導経験の結論です。

本来のポテンシャルから言えば、ほとんどの人の声の悩みはすぐに吹っ飛びます

自分の声の可能性を感じに来ませんか?

詳細とお申込みはこちら
http://william.air-nifty.com/blog/2015/11/voiz3voiz-043e.html

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